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T細胞受容体治療法:がん細胞内のプロテオームの免疫学的標的化

Nature Reviews Drug Discovery 22, 12 doi: 10.1038/s41573-023-00809-z

T細胞受容体(TCR)複合体は、自然に産生される抗原センサーであり、細胞表面と細胞内タンパク質に由来するエピトープに対する細胞性免疫応答を検出し、増幅し、調整する。その結果、TCRは、がん細胞によって選択的に発現されるタンパク質(ネオアンチゲン、がん生殖細胞系抗原、ウイルス性がんタンパク質を含む)の標的化を可能にする。そのため、TCRは、新しいクラスの腫瘍科治療法の基盤となった。本総説では、TCRとTCR様分子を用いた現在のがん治療の状況について述べる。すなわち、内因性TCRまたは組換えTCRを発現するT細胞の養子細胞移植、TCR二重特異性エンゲージャーとヒト白血球抗原(HLA)結合ペプチドに特異的な抗体(TCR模倣体)の養子細胞移植などである。我々は、これらの治療法の臨床開発に関連した独特の複雑さ、例えばHLAの制限、TCRの探索、効力の評価と交差反応の可能性について論じる。それに加えて、さまざまなヒト悪性腫瘍の治療に用いる腫瘍浸潤リンパ球などのTCRベースの治療法が抗腫瘍作用を有することを断定する新たな臨床データを取り上げる。さらに、我々はTCR治療法の将来を探り、例えば、安全に効力を高めるための新たなゲノム編集法や患者の識別を効率的に行う戦略に言及する。

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