Review Article

がん治療において複製ストレスを標的とする

Nature Reviews Drug Discovery 22, 1 doi: 10.1038/s41573-022-00558-5

複製ストレスは、がん細胞のゲノム不安定性の主要な原因であり、がん細胞の重要な脆弱性である。のこの脆弱性は、DNA損傷応答を細胞周期制御と調整しているATR、CHK1、WEE1、MYT1チェックポイントキナーゼなどのキナーゼ群を阻害することにより、治療の標的とすることができる。さらに、DNA損傷応答を阻害すると、DNA断片が細胞質に放出されて、これによって自然免疫応答が誘発される。従って、いくつかのATR阻害剤、CHK1阻害剤、WEE1阻害剤、MYT1阻害剤が、高い複製ストレスを活用して治療抵抗性を克服し、効果的な抗腫瘍免疫を促進するために、単剤療法として、あるいは、化学療法、ポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、または免疫チェックポイント阻害剤との併用療法として、臨床評価が行われている。本総説では、前臨床開発やバイオマーカー開発から臨床試験の評価まで、がんにおける複製ストレスを標的とする現在のアプローチと新たなアプローチについて概説する。

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