Review Article

ナチュラルキラー細胞をがん免疫療法に利用する:第一応答者を送り込む

Nature Reviews Drug Discovery 21, 8 doi: 10.1038/s41573-022-00413-7

ナチュラルキラー(NK)細胞は、がんとウイルス感染症の自然免疫監視において重要な役割を担っている。NK細胞は、体内の異常な細胞を自然に認識し、それらを選択的な細胞毒性機構を介して迅速に除去し、適応応答を開始するために他の免疫細胞を動員し、活性化させる炎症性サイトカインと炎症性ケモカインを強力に産生する「第一応答者」である。NK細胞上の多様な細胞表面受容体の最初の発見からそれらの機能を制御する調節事象の特性解明までのNK細胞の基礎生物学的理解は、この30年間に劇的に進んだ。この高度な知識により、複雑度の高い機構が明らかになり、特にがん患者において、NK細胞の機能的応答を効果的に操作し、これを標的とする数多くのエキサイティングな新規治療法の開発に道が開かれた。本論文では、NK細胞の生物学的性質を調節する基本的な機構を概説し、NK細胞の応答を刺激するために現在開発中あるいは使用中の多種多様な薬剤、サイトカインと抗体を総説し、開発段階にあるNK細胞の養子移入によるがん治療を概説する。

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