Perspective

腫瘍部位での適応免疫耐性:機構と治療薬開発の機会

Nature Reviews Drug Discovery 21, 7 doi: 10.1038/s41573-022-00493-5

腫瘍は、さまざまな戦術を用いて免疫攻撃に適応し、最終的に抵抗するようになる。こうした機構は、適応免疫耐性(AIR)と総称される。適応免疫耐性機構として初めて明らかにされ、治療にとっての有用性が検証されたのが、腫瘍におけるインターフェロンγによるプログラム細胞死1リガンド1(PDL1)の選択的誘導である。抗体を用いてPDL1がその受容体であるPD1に結合することを阻害する治療法(抗PD療法)は、一部の進行期がん患者、特に固形腫瘍の症例で寛解をもたらした。しかし、強力な機構的根拠なしに抗PD療法と他の抗腫瘍薬を併用する臨床試験が数多く実施され、相乗効果や相加効果が突き止められなかった。このPerspectiveでは、腫瘍部位での適応免疫耐性機構を明らかにすることが、今後の新薬開発だけでなく、現在のがん治療を改善する実践的な方法を方向付けるうえで重要な焦点になると考えられる理由を論じる。

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