Perspective

グリアリンパ系:中枢神経系疾患治療薬に対する意義

Nature Reviews Drug Discovery 21, 10 doi: 10.1038/s41573-022-00500-9

この10年で、中枢神経系にグリアリンパ系という体液除去経路が存在するという考え方を裏付ける証拠が増えてきた。グリアリンパ系の考え方によれば、脳内では脳脊髄液が方向性を持って流れており、脳の間質にある代謝性老廃物を非選択的に除去する。重要な点としては、グリアリンパ系が、麻酔薬などの特定の薬剤だけでなく、睡眠などの非薬理学的要因によっても調節される可能性があり、グリアリンパ系の機能不全が、アルツハイマー病などの中枢神経系障害に関係していることである。齧歯類のグリアリンパ系が、最もよく記述されているが、複数の神経画像診断法を用いた研究で、ヒトの脳内にも同様の輸送系が存在することを示されている。本論文では、グリアリンパ系が存在することを裏付ける証拠と疾患におけるグリアリンパ系の役割を概説し、例えば、髄腔内投与薬の有効性改善などによってグリアリンパ系を治療に利用する機会についても考察する。

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