Perspective

タンパク質と脂質の界面でのリガンド結合:薬物設計の戦略的留意事項

Nature Reviews Drug Discovery 20, 9 doi: 10.1038/s41573-021-00240-2

多くの薬物標的、例えばGタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、輸送体、膜結合型酵素は、細胞膜のリン脂質二重層内に埋め込まれている。生物物理学研究と構造学的研究から、多くの小分子薬は通常、タンパク質とリン脂質の界面の結合部位で薬物標的に結合することを示唆する証拠が積み上げられてきている。バルク溶媒から結合部位に到達する直接的経路のない薬物は、標的タンパク質と相互作用する前にリン脂質膜に入り込まなければならない。この膜へのアクセス機構は、これらの部位を標的とする薬物の有効性データ、構造_活性相関、薬物動態と物理化学的特性の解釈に必然的に影響を及ぼす。X線結晶解析やクライオ電子顕微鏡法によって膜内の結合部位で発見された小分子の数が増えていることから、我々は、小分子薬の作用においてリガンドと脂質との相互作用が一般に認識されているよりも大きな役割を果たしている可能性が高いと考える。このPerspectiveでは、この標的空間内で活動する創薬チームを支援するための重要な概念と薬物設計での留意事項を紹介し、この分野における課題と将来の機会について論じる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度