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小分子による「アンドラッガブルな」転写因子の標的化の進展

Nature Reviews Drug Discovery 20, 9 doi: 10.1038/s41573-021-00199-0

転写因子は、がん、自己免疫疾患、糖尿病、心血管疾患など各種疾患において重要な生物学的働きをする。しかし、核内受容体以外の転写因子は、著しい構造の乱れと明確な小分子結合ポケットの欠如のため、小分子リガンドでは「アンドラッガブル」と従来考えられてきた。化学生物学的アプローチによるリガンドの探索と最適化の著しい進展、とりわけ選択的タンパク質分解法が登場したこと、ならびに重要な転写因子のエフェクター遺伝子の調節において限られた数のコラボレーターが果たす重要な役割の理解が深まったことををきっかけに、この分野に再び関心が集まっている。本総説では、転写因子が介在する遺伝子調節に関する現在の理解を総説し、成功を収めた標的化戦略を論じ、未解決課題とその解決のための新たなアプローチを取り上げる。

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