Review Article

薬物送達のための精密ナノ粒子の作製

Nature Reviews Drug Discovery 20, 2 doi: 10.1038/s41573-020-0090-8

近年、ナノ粒子の開発は、広範な臨床応用と関係するようになった。ナノ粒子の開発には、遊離型の治療薬の限界を克服するだけでなく、同じ患者集団や疾患において存在する不均一な生物学的障壁(全身性、微小環境性、細胞性)を乗り越えるという目的があった。こうした患者の不均一性は、精密治療(個別化介入によって治療効果を高める)によっても克服されてきたが、ナノ粒子開発は、依然として、万能型ソリューションで薬物送達プラットフォームを最適化することに重点を置いている。一方、脂質を用いた高分子ナノ粒子と無機ナノ粒子の作製はますます決まった方法で行われるようになってきているため、より個別化された方法での薬物送達に最適化できるようになり始めており、精密医療の時代に突入している。本総説では、精密治療を改善するために適用される可能性のある非個別化応用例と精密応用例の両方で利用される高度なナノ粒子設計について論じる。我々は、薬物送達に対する不均一な障壁を克服するナノ粒子設計の進歩を重点的に論じ、インテリジェントなナノ粒子の設計によって一般的な薬物送達応用例の有効性を高めつつ、精密応用例に合わせた設計を行えるようにして、最終的に患者の全体的な転帰を改善できることを主張する。

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