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新世代抗補体療法の臨床移行の見込み

Nature Reviews Drug Discovery 18, 9 doi: 10.1038/s41573-019-0031-6

補体系は、病原体に対する免疫監視と組織の恒常性において重要な役割を担っているが、補体系の厳密な調節制御が破壊されれば、病理を増悪させる炎症性損傷の悪循環に拍車がかかる。補体系を標的とした治療法に臨床的利点があることは、発作性夜間血色素尿症や非定型溶血性尿毒症症候群などの希少な臨床疾患において確立されている。前臨床研究とヒトの全ゲノム解析によって得られた証拠は、新たな分子的知見と構造的知見によって裏付けられており、これまで知られていなかった病理機序やアンメット・メディカル・ニーズを明らかにして、さまざまな適応に向けた新世代の補体阻害薬の臨床開発を推進した。本総説では、抗補体療法の創薬に関する最近の臨床上のマイルストーンを厳密に考察して、臨床移行に関する新たな展望を示す。これは、標的選択の最適化と個々の疾患に合わせた抗補体治療薬による治療介入のための指針になる可能性がある。

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