Review Article

がん治療における腫瘍溶解性ウイルス療法を最適化する

Nature Reviews Drug Discovery 18, 9 doi: 10.1038/s41573-019-0029-0

現代の免疫療法の成功に続き、免疫チェックポイント阻害剤による治療に応答しないがん患者や、免疫チェックポイント阻害剤の持続的応答を得られないがん患者に対し、腫瘍溶解性ウイルス(OV)が治療選択肢になる可能性があると現在見なされている。OVは、腫瘍細胞内で増殖しやすく、その細胞傷害活性および免疫刺激活性を増強する導入遺伝子を発現するよう操作できる他、疾患の局所領域および全身部位の両方で腫瘍の微小環境を調節して免疫介在性の腫瘍の根絶を最適化するため、多面的な治療プラットフォームとなる。腫瘍細胞が溶解すると、自然免疫系および適応免疫系の両方を誘発する腫瘍特異的抗原が放出される。OVはまた、極めて高い安全性プロファイルのおかげで、全身に送達する他の薬剤との併用投与が可能な魅力的なパートナーともなる。免疫チェックポイント阻害にほとんど応答せず、現在のところ十分な医療サービスを受けていない大きな患者集団が存在しており、OVを、免疫介在性の攻撃に対する腫瘍抵抗性の機構に基づいて、さまざまな免疫修飾薬および抗腫瘍薬の両方もしくは一方と合理的に組み合わせることで、こうした患者が恩恵を得る可能性がある。

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