Perspective

標的タンパク質の選択的分解:ツールボックスの拡充

Nature Reviews Drug Discovery 18, 12 doi: 10.1038/s41573-019-0047-y

ユビキチン–プロテアソーム系による選択的タンパク質分解を誘導するタンパク質分解誘導キメラ分子(PROTAC)と近縁分子は、新しい治療様式であり、占有に基づく作用機序による従来の阻害剤に対して、投薬、副作用、薬剤耐性と「アンドラッガブルな」標的タンパク質の調節という点で潜在的優位性があるため、大きな関心を集めている。しかし、これは成熟途上の技術であり、PROTAC創薬を成功させるための設計要素の解明が現在行われている。600種を超えるE3ユビキチンリガーゼのうち、これまでに選択的タンパク質分解に利用されたものは10種に満たないため、この分野の知識を拡大させることが重大な好機となっており、これは重要な点である。本論文では、化学生物学と創薬の分野で選択的タンパク質分解について学んだ教訓を簡潔に考察し、PROTAC創薬のためのツールボックスを拡充できる可能性のあるヒトE3リガーゼの発現プロファイル、ドメイン構造と化学的扱いやすさを系統的に概説する。

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