Review Article

プレシジョン・メディシン時代の新薬開発

Nature Reviews Drug Discovery 17, 3 doi: 10.1038/nrd.2017.226

創薬と新薬開発のパイプラインへの情報提供を目的としたゲノミクスの利用は、過去30年間にわたって興奮と懐疑の両方を生み出してきた。これまでの活動でいくつかの新しい薬物標的の同定に成功しているが、それによって開発された薬の臨床的有効性は思わしくない。その主たる理由は、疾患の原因が不均一な点にある。しかし、最近のゲノム技術の進歩とゲノム解析の進展により、個々の患者の疾患の基盤となる遺伝的変異の迅速な同定と解釈ができるようになり、疾患の原因又は一因となる患者特異的な機構を解明する手がかりが得られ、究極的にこうした機構の「適確な」標的化を行える可能性がある。本論文では、創薬と新薬開発におけるゲノミクスのこれまでの段階の成功例と限界を検討し、明確に示す。そして、現在のプレシジョン医療への大きな取り組みを総説し、今後の機構的に誘導される治療法の幅広い潜在的有用性を論じる。

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