Review Article

疾患治療における制御性T細胞

Nature Reviews Drug Discovery 17, 11 doi: 10.1038/nrd.2018.148

制御性T細胞(Treg細胞)は、炎症を抑制し、免疫系の活性を制御する。全身性または臓器特異的な自己免疫疾患の患者、あるいは臓器移植者は、Treg細胞の機能が低下している。Treg細胞をex vivoで増殖させて再移入する方法や既存のTreg細胞の数を増したり能力を高めたりする方法によって、Treg細胞の機能を強化する手法は、臨床試験が行われている。がん患者の場合には、自己免疫疾患の状況とは異なり、Treg細胞は、抗腫瘍免疫応答を制限し、血管新生と腫瘍増殖を促進する。こうしたTreg細胞の免疫抑制機能は、数々のがん免疫療法が失敗する一因となっている可能性がある。Treg細胞の機能低下と数的減少のいずれか一方、または両方を腫瘍部位特異的に引き起こす方法は、抗腫瘍免疫と腫瘍退縮を促進する方法として研究が進められている。本論文では、自己免疫疾患と臓器移植、がんにおけるTreg細胞の調節に関する研究の現在の進行状況を論じる。

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