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再ミエリン化療法:多発性硬化症における新しい方向性と課題

Nature Reviews Drug Discovery 16, 9 doi: 10.1038/nrd.2017.115

多発性硬化症は、軸索を包み込むミエリン鞘の破壊をもたらす炎症活動を特徴とする。現在利用可能な多発性硬化症の薬剤は、大半が免疫調節剤であり、ミエリン鞘の修復を直接促進するものではない。白質の再生(再ミエリン化)は、中枢神経系の損傷部位を修復するため、多発性硬化症の新たな興味深い治療法となる可能性を秘めている。動物モデルにおける再ミエリン化を促進する数々の新戦略、例えばミエリンを産生するオリゴデンドロサイトの再増殖が考え出され、新たな修復療法を検証するための臨床試験がいくつか実施された。本総説では、再ミエリン化の生物学的性質と阻害要因を明確にする。そして、前臨床モデルにおいて再ミエリン化を改善する新たな戦略にも言及し、現在臨床試験が実施されている治療法を紹介し、さらに、多発性硬化症の修復療法の臨床試験における再ミエリン化の客観的測定という課題を論じる。

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