Review Article

病原細菌ごとに異なる薬:抗生物質耐性の時代における抗ビルレンス剤による治療

Nature Reviews Drug Discovery 16, 7 doi: 10.1038/nrd.2017.23

数々の病原細菌の間で抗生物質耐性が急速に進化、伝播し、新規抗生物質の開発が追いついていない中で、代替薬の1つは抗ビルレンス剤である。抗ビルレンス剤は、ヒトの疾患を促進する病原体の毒性因子を中和しつつ、従来の抗生物質の標的となっている細菌の増殖経路を損なわないため、抗生物質耐性を回避できる。抗ビルレンス剤は、単独投与あるいは抗生物質との併用によって細菌感染症を主として病原体特異的に治療するように作られている。特記すべきは、疾患過程におけるさまざまな毒性因子の役割を徹底的に解明することが抗ビルレンス剤の開発に必要な点だ。本総説では、抗ビルレンス剤による治療法の背後にある理論を概説し、抗ビルレンス剤の標的となる細菌の特徴を例示する。さらには、この抗ビルレンス剤のパラダイムの最近の成功例と失敗例、そして開発段階にある新薬についても論じる。

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