Review Article

エピジェネティック創薬:免疫関門を打ち破る

Nature Reviews Drug Discovery 15, 12 doi: 10.1038/nrd.2016.185

免疫介在性疾患は、臨床的に不均一であるが、遺伝的機構と発症機構は共通しており、遺伝的要因及び環境的又は生活習慣的要因の相互作用によって発症すると考えられている。これらの要因(感染性因子を含む)への曝露は、エピジェネティックな変化を原因とする遺伝子転写の協調的変化と関連している。遺伝子発現パターンと細胞機能がエピジェネティックな機構によって制御される過程については、解明が進んできており、そのために役立ってきたのが、この過程を標的とする低分子阻害剤の開発である。これらの化学的手段は、免疫応答の際の細胞運命決定におけるエピジェネティクスの重要性を解明する上で役立ってきており、エピジェネティックな機構を標的とした炎症と免疫介在性疾患の治療法の可能性を明らかにしてきた。本総説では、自己免疫疾患と炎症性疾患のためのエピジェネティック薬の開発の最先端領域について論じ、興味深く、また、進化を続けるエピジェネティック創薬の分野を概説する。エピジェネティック薬は、免疫介在性疾患の患者に用いるための臨床試験へと必ず進むことになるだろう。

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