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腫瘍溶解性ウイルス:新しいクラスの免疫療法薬

Nature Reviews Drug Discovery 14, 9 doi: 10.1038/nrd4663

腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍細胞の選択的致死、および全身性抗腫瘍免疫の誘導に依存する二重の作用機構によって抗腫瘍応答を促進する新しいクラスの治療薬である。作用に関わる分子機構および細胞機構は十分に解明されてはいないが、悪性転換した細胞内部でのウイルスの増殖、細胞死の直接的な誘導、腫瘍細胞の抗ウイルス因子との相互作用、あるいは抗腫瘍自然免疫および適応免疫の惹起に依存している可能性が高い。さまざまな天然ウイルスや遺伝子改変ウイルスが腫瘍溶解性薬剤として開発されており、近い将来、米国食品医薬品局(FDA)が腫瘍溶解性ウイルスを初めて承認すると予想されている。本総説では、がん治療薬としての腫瘍溶解性ウイルスを支持する基礎生物学の包括的概要を示し、先進的臨床試験が実施されている腫瘍溶解性ウイルスについて説明する他、腫瘍溶解性ウイルスを新しいクラスのがん治療薬として開発する際に生じる固有の課題について論じる。

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