Review Article

がん治療におけるサイクリン依存性キナーゼ標的化の経緯と今後

Nature Reviews Drug Discovery 14, 2 doi: 10.1038/nrd4504

がんは、制御されない細胞分裂という病理学的兆候を示す。このため、細胞周期制御の基本的原則を理解することが有効ながんの治療につながるだろうと古くから予想されてきた。とりわけ、細胞周期の移行を促すサイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、重要な治療標的となると考えられてきた。多くの腫瘍発生事象は、最終的に、細胞周期のG1期にCDK4複合体あるいはCDK6複合体に作用することで増殖を駆動するためだ。さらに、染色体安定性の揺らぎや、CDK2とCDK1を介してS期とG2/M期が制御されているという状況は、重要な腫瘍発生事象である。こうした見解をCDK阻害剤の臨床開発へと橋渡しする取り組みは困難なもので、数多くのCDK阻害剤の臨床試験が失敗に終わっている。この論文では、CDKの生物学、個別のキナーゼ複合体を治療標的とする論理的根拠、およびこれまでに行われたCDK阻害剤の臨床試験結果について概説する。また、高い選択性(特にCDK4とCDK6の両方に対して)を有するCDK阻害剤を、患者の層別化と組み合わせることで、より有効な臨床活性に結びついた理由も述べる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度