Review Article

排出系から救世主へ — リンパ系を標的として薬の送達および活性を促進する

Nature Reviews Drug Discovery 14, 11 doi: 10.1038/nrd4608

リンパ系は、体液恒常性、脂質代謝および免疫制御に不可欠な役割を果たしている。がんでは、固形腫瘍を排出するリンパ節が第一の転移部位であり、最近の研究ではリンパ機能と脂質沈着、肥満およびアテローム動脈硬化症の間の本質的なつながりが示唆されている。近年、病理学的変化と免疫におけるリンパ管の役割についての理解が進んだことで、リンパを標的とする薬物送達は、疾患治療とワクチン接種を一変させる可能性があると考えられるようになってきた。その上、リンパへの送達系の設計で進展が見られており、受動的にリンパへ到達させるという単純な系から、ナノテクノロジーを使って脂質輸送過程で“ヒッチハイク”する内在性高分子や脂質抱合体を模倣する精巧な構造となっている。本総説では、健常時と疾患時のリンパ系、リンパへの移行と輸送のさまざまな仕組みを簡潔に要約する他、治療的有用性を増強してきたリンパへの送達の例について述べる。また、効率的なリンパに基づいた治療の、今後の課題の概要も示す。

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