Perspective

薬物トランスポーターは実際にどのような働きをしているのか?

Nature Reviews Drug Discovery 14, 1 doi: 10.1038/nrd4461

ATP結合カセット(ABC)トランスポーターや溶質キャリヤー(SLC)トランスポーターファミリーを介した潜在的な薬物間相互作用は、臨床的あるいは薬物規制的に関心が高い。しかし、こうした薬物トランスポーターの内因性機能は、十分に理解されていない。本論文では、ABCトランスポーターおよびSLCトランスポーターが、各種代謝物、抗酸化物質、シグナル伝達分子、ホルモン、栄養素、神経伝達物質などさまざまな基質の輸送において果たす役割の根拠について議論する。これらのトランスポーターは、細胞間、器官間、体液区画間、そしておそらくは離れている生物間における、遠隔通信(遠隔感知、遠隔シグナル伝達)という大規模なシステムの一部である可能性が示唆されている。このような広義の見解は、出産前および出産後の発育、さらには、糖尿病や慢性腎疾患、メタボリックシンドローム、高血圧、痛風、肝疾患、神経精神性疾患、炎症性症候群、臓器損傷などに関連した疾患のメカニズム、薬物–代謝物相互作用、および薬物の効果の解明に役立つと考えられる。

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