Review Article

創薬が困難なRASを標的とした薬剤開発:達成可能なのか?

Nature Reviews Drug Discovery 13, 11 doi: 10.1038/nrd4389

30年以上の懸命な取り組みにもかかわらず、臨床で用いられているがんタンパク質RASの有効な薬理学的阻害剤は存在しない。このため、RASタンパク質は新薬につながるものではないとする認識が大きくなっている。しかし、実験や臨床に基づく最近のデータから、RAS阻害分子の開発に再び希望が見えてきた。本稿では、主要な5つの手法について、その進展度と有望度について述べる。まず、我々はRASの直接阻害剤使用の可能性を述べる。2番目に、RASの細胞膜との相互作用の阻害の有効性を検討する。3番目に、RAS下流のエフェクターシグナル伝達を標的とする手法の、現在の状況を評価する。この手法は現段階でほぼ間違いなく最も有効とされる。4番目に、変異型RASの合成致死性相互作用分子の探索がいまだ期待できるのかどうかについて述べる。5番目に、最近報告されている細胞代謝でのRAS介在性の変化について述べ、こうした変化が新規治療の方向性として有効かどうか議論する。そして最後に、現段階ではまだ十分に理解されていない複雑な問題が新たに生じた場合、上述の各手法に影響すると思われる見解について述べる。

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