Perspective

薬物治療におけるプラセボ効果:最小化、最大化あるいはカスタマイズ

Nature Reviews Drug Discovery 12, 3 doi: 10.1038/nrd3923

治療薬のプラセボ効果に影響を与え、その効果を抑えるような機序を理解しようとする試みが過去10年で盛んとなり、診療にも今後の薬物開発にも、その有益な効果を生かそうという機会が増えている。本稿では、プラセボ効果の調節に使われる3つの研究戦略について述べ、どの開発段階で3つの戦略を応用するのか検討する。臨床試験では、治験薬とプラセボによる効果の相違を明確にするため、プラセボ効果を最小限にしなければならない。これは治験薬の効果を正しく評価するためである。一旦、薬物が承認され、臨床で使用されれば、患者の期待を利用し、治療成果を改善する機序を学ぶことで、プラセボ効果が最大化されるべきである。その結果、最終的に、患者個人の遺伝的素因、性格、病歴、治療歴を考慮したプラセボ効果のカスタマイズによって治療成果を最大限に上昇させることができる。

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