Review Article

抗がん治療の標的としてのヒストン・リシン脱メチル化酵素

Nature Reviews Drug Discovery 12, 12 doi: 10.1038/nrd4154

クロマチン構造および細胞の同一性の維持に必要とされるエピジェネティックなプログラムを制御する遺伝子の中に、ヒトのがんを発生させる遺伝子群が含まれていることが、最近明らかになった。この観察結果により、クロマチン関連タンパク質が薬剤標的として興味深いものとなる可能性を秘めているという認識が高まってきた。ある特定の型のがんの治療にはDNAメチル化阻害剤およびヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤が導入され、成功しており、エピジェネティック療法の利用への道が開かれている。本論文では、ヒストン・リシン脱メチル化酵素に分類される酵素群が、がんの発生過程で役割を果たしていることを示した重要な生物学的知見に着目し、これらの酵素群を治療標的とする可能性と課題について論じ、さらに、こうした酵素群の新しい小分子阻害剤についても焦点を当てる。

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