Review Article

バイオフィルムの生物学的機能から得た知見の薬物開発への応用

Nature Reviews Drug Discovery 12, 10 doi: 10.1038/nrd4000

細菌性病原菌の研究は、ほとんどが急性感染症に関するものである。しかし、バイオフィルム内において集合体として成長する細菌が引き起こす感染症の発症機序についてほとんど分かっていない。バイオフィルム内の細菌は、抗生物質と同様に自然免疫と適応免疫による防御機構にも抵抗性を示すため、このような細菌による感染症は慢性化しやすく、バイオフィルム感染症に対する有効な治療法が強く求められている。これまで、バイオフィルム内の細菌を特異的な標的とする薬物はないものの、いくつかの取り組みは、開発の初期段階にある。本論文では、バイオフィルムの生理学と病理に関して現在明らかになっていることについて概説し、バイオフィルムを物理的、生物学的にきちんと理解することで、抗バイオフィルム薬の開発のための治療戦略と分子標的にどのような情報が与えられるのかについて検討する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度