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太陽エネルギー変換のためのプラズモン誘起共鳴エネルギー移動
Nature Photonics 9, 9 doi: 10.1038/nphoton.2015.142
フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)では、双極子–双極子カップリングによって、放射を伴わずに青方偏移発光体から赤方偏移吸収体へのエネルギー移動が起こる。本論文では、プラズモニクスによって逆方向の移動が可能になり、短波長方向にプラズモンエネルギーを移動させて半導体中に電荷分離を誘起できることを示す。プラズモン誘起共鳴エネルギー移動(PIRET)はFRETと異なり、ストークスシフトがなく、非局所的な吸収効果があり、プラズモンの位相緩和速度や双極子モーメントに対して強い依存性がある。 PIRETでは、無放射エネルギー移動が絶縁体スペーサー層を通して起こるため、界面での電荷再結合損失や、ホットエレクトロンの移動によるプラズモンの位相緩和が回避される。プラズモン共鳴におけるさまざまな範囲の離調に関して、双極子–双極子カップリングの距離依存性が明らかにされた。PIRETを利用することで、半導体バンド端未満のエネルギーの可視・近赤外太陽光を効率よく集めることができ、光電気化学電池、光触媒、光起電デバイスに単一半導体を用いる際のバンド端エネルギー論の制約を克服するのに役立つ。