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負の位相速度の超低速双曲型ポラリトン伝搬の直接観測

Nature Photonics 9, 10 doi: 10.1038/nphoton.2015.166

双曲型分散を持つポラリトンは、回折限界未満のイメージング、センシング、自然放出技術など、多くの新しいフォトニック技術のカギとなる。そうした技術の効果的な応用の基礎となるのが、ポラリトンの寿命と、位相速度や群速度である。今回我々は、時間領域干渉法と散乱型近接場顕微鏡法を組み合わせて、空間的・時間的に双曲型ポラリトンの伝搬を可視化することによって、初めてこれらの量を全て直接測定した。特に、双曲型分散と深いサブ波長スケールの場の閉じ込めを示す薄い六方晶窒化ホウ素導波路における赤外フォノンポラリトンを調べた。今回の結果から、自然物質において、負の位相速度、0.002cという著しく遅い群速度、ピコ秒領域の寿命が明らかになった。こうした知見は、ポラリトンが強い光–物質相互作用と負の屈折を媒介する可能性を示している。一方、我々のイメージング技術は、他の二次元物質、メタマテリアル、導波路におけるポラリトン伝搬特性の明瞭なナノイメージングに向けて道を開くものである。

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