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生細胞における粘弾性異方性の撮像のためのブリルアン光散乱異方性顕微鏡法

Nature Photonics 18, 3 doi: 10.1038/s41566-023-01368-w

機械的異方性の維持と調節は、生物学的過程に不可欠である。しかし、生きたソフトマターにおいて、どのようにして微視的スケールで機械的異方性の維持と調節がなされるのかは、必ずしも明らかではない。ブリルアン光散乱(BLS)分光法で物質の機械的特性を調べることはできるが、BLS顕微鏡法による生体物質の機械的異方性の時空間的マッピングは、傾斜した励起角度と検出角度で連続的に測定する必要があるため、面倒である。今回我々は、生細胞内における高周波粘弾性異方性をマッピングするためのブリルアン光散乱異方性顕微鏡法(BLAM:Brillouin light scattering anisotropy microscopy)を提示する。BLAMは、シングルショットで角度分解分散の収集を可能にするラジアルVIPA(virtually imaged phased array)を用いているため、生体物質におけるさまざまな方向のフォノンモードを同時に調べることができる。我々は、ブリルアン周波数シフトの決定において、2 μmの空間分解能で10 MHzの精度を実証する。我々は、筋原線維に関する原理検証実験に続いて、2つの基本的な生物学的過程の研究にBLAMを適用している。また、植物細胞壁において、非対称成長につながる可能性のある異方性細胞壁特性から等方性細胞壁特性への切り替わりを観察している。そして、哺乳類細胞核において、クロマチン凝縮と相関し時空間的に振動する弾性異方性を明らかにしている。今回の結果は、生体系におけるさまざまな基本的過程の調節において高周波機構が果たしうる役割を浮き彫りにしている。我々は、生物医学的撮像や材料特性評価においてBLAMがさまざまに応用されると予想する。

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