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ニオブ酸リチウムナノフォトニック導波路における可視から紫外の周波数コム生成

Nature Photonics 18, 3 doi: 10.1038/s41566-023-01364-0

光周波数コム計測の分野に非線形ナノフォトニックデバイスを導入することによって、低電力チップ集積クロック、高精度周波数合成、広帯域分光法の新たな機会が可能になっている。しかし、こうした進歩の大半がスペクトルの近赤外領域に限定されたままなので、紫外域や可視域における数多くの量子系や原子系と周波数コムの集積化が制限されている。今回我々は、χ(2)非線形性とχ(3)非線形性の組み合わせによる高効率スーパーコンティニューム生成のために、設計された分散とチャープ疑似位相整合を組み合わせたマルチセグメント・ナノフォトニック薄膜ニオブ酸リチウム導波路を導入することで、この欠点を克服した。我々は、1550 nmにおいてわずか90 pJのパルスエネルギーで、330 nm~2400 nmをカバーするギャップフリー周波数コムを実現している。近赤外ポンプから350 nm~550 nmの紫外・可視領域への変換効率は17%であり、最適化ポーリング構造のモデリングによってさらに高い効率が予測されている。同じ導波路におけるχ(2)非線形性による高調波生成によって、キャリアエンベロープオフセット周波数と、350 nmという短い波長におけるコムのコヒーレンスを検証する手段が直接得られた。今回の結果は、可視・紫外周波数コムを生成する集積フォトニクスアプローチをもたらすことで、この重要なスペクトル窓における精密分光法、量子情報処理、光クロックの応用に影響を及ぼす。

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