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臭化物系ペロブスカイト・ガンマ線スペクトルデバイスにおける表面欠陥パッシベーションによって可能になった1に近い電荷収集効率

Nature Photonics 18, 3 doi: 10.1038/s41566-023-01356-0

ハイブリッドハロゲン化鉛ペロブスカイトは、全無機ペロブスカイトより電荷輸送特性が優れているが、高分解能の放射線分光検出器はまだ実現されていない。今回我々は、バルクの輸送特性が優れているにもかかわらず、ホルムアミジニウム臭化鉛(FAPbBr3)単結晶デバイスにおける深い表面トラップが電荷収集を大きく制限することを示す。結晶表面の3種類の欠陥、すなわちFA空孔、非配位性鉛、臭化物が失われることによって生じるPb–Pbダイマーが、深いトラップを形成するため、金属/ペロブスカイト界面で非輻射電荷再結合が起こることが見いだされた。我々は、パッシベーション官能基を調整することによって、FAPbBr3表面で臭化アンモニウムがこれらの3種の深いトラップをすべてパッシベートし、電荷収集効率を1近くまで向上できることを見いだした。バルクと表面の再結合寿命が同等であることから、全ての表面欠陥が効果的にパッシベートされていることが示された。また、表面パッシベーションによって、暗電流が10分の1に減り、暗カウントも約60分の1に減った。バルクの特性を変えることなく全ての表面欠陥をパッシベートすると、FAPbBr3検出器を用いて取得した137Csスペクトルのエネルギー分解能が5.7%から1.7%に向上した。これは、溶液プロセスで成長させた半導体系検出器の中で最も優れている。表面パッシベーションは6カ月以上安定であり、FAPbBr3分光検出器は、130℃を超えるかつてない高温で動作し得る。

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