Research Highlights

ナノファブリケーション:階層的な多孔質構造体

Nature Nanotechnology 2018, 1118 doi: 10.1038/s41565-018-0311-z

金属ナノ多孔質構造体は、表面積対体積比が高いため電気輸送と物質輸送が共に優れており、スーパーキャパシターや触媒の用途に有望である。そうした構造体は、二元合金を脱合金することで得られる。例えば、ナノ多孔質金は、金銀合金から銀を溶解して作られることが多い。しかし、ナノ多孔質金は、過去に有望な結果が得られてはいるが、細孔構造がかなりランダムで質量輸送に大きな抵抗が生じることが多いのが欠点であった。

今回C Zhuたちは、3D印刷を合金化および脱合金と組み合わせて、階層的なナノ多孔質金を作製した。数マイクロメートル、さらには数十マイクロメートルのオーダーの大きなマクロ細孔を物質輸送の優先チャネルとして用いることができると同時に、数十ナノメートルのより微細な構造の細孔によって高い表面積対体積比が確保される。製造過程の第一段階は、金微粒子と銀微粒子の多孔質マクロ構造体の3D印刷で、次にこれをアニールして均一な金銀合金を作る。最後に、銀を除去するエッチング剤にこの合金を浸すと、典型的な細孔径が10~100 nmの範囲の多孔質ナノ構造体が残る。

この階層的多孔質構造体は、電気化学的特性、物質輸送特性、触媒特性が、非階層的な多孔質構造体よりかなり優れている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度