Research Highlights

太陽光による光触媒反応:層間隔の狭い窒化炭素

Nature Nanotechnology 2017, 1117 doi: 10.1038/nnano.2017.226

2Dポリマーは、機能材料の新たなフロンティアである。こうした材料によって、ロバストな力学的性質だけでなく、重要な化学的変換のための高い反応性も得られる。窒化炭素は、グラフェンに似た窒素を含む材料であり、太陽光を捕らえて水から水素を生成する有望な無金属触媒である。しかし、窒化炭素は、励起子分離能が低いため、太陽光で燃料を生成する無機材料と比べて性能が劣っている。

今回、WangとAntoniettiは、太陽光で水素を生成する窒化炭素の能力を向上させる合成法について報告している。彼らは、溶融塩混合物を用いて、尿素のみあるいは尿素とオキサミドを濃縮し、結晶性窒化炭素を生成した。溶融塩混合物によって、窒化炭素シートがより接近して結晶化され、シート間隔が典型的な0.326 nmから0.292 nmに狭くなった。

この緊密に詰まった窒化炭素は、紫外・可視光をより強く吸収し、増強された励起子分離挙動を示す。こうした改良された窒化炭素では、水素生成が白色光照射下で30倍に増強され、緑色光では40倍近く増強された。さらに、この窒化炭素は、3%のNaCl溶液において極めて高い活性を示し、4回の除去–再使用サイクルにわたって活性が失われなかった。

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