Research Highlights

トポロジカル絶縁体:表面状態が磁気秩序を広げる

Nature Nanotechnology 2014, 1214 doi: 10.1038/nnano.2014.303

Bi2Te3などのトポロジカル絶縁体では、バルクは電気を伝導しないが、伝導性の高い電子状態が表面に存在する。こうした表面状態は、トポロジーによって不純物や不動態化から保護され、そのスピンは運動量に対して直角に固定されるため、トポロジカル絶縁体はスピントロニクス用途に有望である。表面状態と磁性原子の相互作用は、トポロジカル絶縁体のスピン構造の制御を実現する手段である。しかし、そのような可能性の実現はまだ困難であった。ドイツとロシアのP Sessiたちは今回、CoやMnをドープしたBi2Te3試料での磁気秩序の出現における表面状態の役割について報告している。

非局所的なプローブを用いたこれまでの研究とは対照的に、Sessiたちは走査型トンネル顕微鏡法を用いて、トポロジカル絶縁体の表面状態とその上に蒸着した磁性吸着原子の電子的相互作用を測定した。その結果、この表面状態が吸着原子間の磁気結合を媒介することによって、被覆率の低い磁性ドーパントに強磁性秩序が形成され、個々の吸着原子の磁気異方性に対する依存性が生じることが分かった。

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