Research Highlights

光電子デバイス:プラズモニクスの可能性を示す

Nature Nanotechnology 2014, 1214 doi: 10.1038/nnano.2014.302

金属ナノ構造体は、光によって励起された伝導電子の集団振動を維持できる。こうした振動には特定の周波数(プラズモン周波数)があり、ナノ粒子が電子を得るとより高い値に、電子を失うとより低い値に少しだけ変化する。電荷の数は、例えば、外部静電場をかけて、変えることができる。今回、カリフォルニア工科大学とFOM–AMOLF研究所(オランダ)のH Atwaterたちは、光が静電ポテンシャルの生成を誘起するという逆の過程も起こり得ることを示している。

Atwaterたちは、インジウムスズ酸化物(ITO)でできた導電性表面の上に、直径60 nmの金ナノ粒子を堆積した。次に、ケルビンプローブ顕微鏡を用いて、入射光の周波数をプラズモン共鳴のあたりで走査しながら、顕微鏡ティップとナノ粒子の間の電気ポテンシャルを測定した。入射光の周波数が共鳴から少し外れると、電荷キャリア密度の変化に起因する、ナノ粒子の静電的「プラズモン電気」ポテンシャルを検出することができた。

この2つの周波数が一致していなければ、入射光の周波数がプラズモン共鳴のどちら側にあるかに依存して、ナノ粒子からITOへ電子が移動したり、その逆が起きたりするとAtwaterたちは示唆している。この電荷移動は、照射周波数を一致させて自由エネルギーを最小化する傾向がこの系にあるので、熱力学的に有利な過程である。

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