Research Highlights

磁性ナノ構造体:超小型攪拌子

Nature Nanotechnology 2013, 713 doi: 10.1038/nnano.2013.139

ガラス製のビーカーの中で回転する磁気攪拌子は、化学や生物学の多くの研究室でよく見かけるものであり、これを用いて化学反応物を効果的に混ぜることができる。大きさがマイクロメートル程度の液滴は、小型のビーカーのような機能を果たすこともでき、数多くの反応を平行して行うことが可能になる。しかし、そのような小さな体積を混ぜるのは難しく、一般的にはマイクメートル大の攪拌子用いて行われているが、重力や磁力のために、反応漕である液滴の底の部分しか攪拌されないことが多い。この問題に対処するため、南洋理工大学(シンガポール)のH Chenたちは今回、ナノスケールの磁気攪拌子を作った。

この攪拌子は、Fe3O4ナノ粒子の直鎖でできており、磁石でナノ粒子を直線状に並べ、次に構造を保つためにシリカの殻をコーティングして作られる。ナノ粒子の直径は約40 nmであるが、シリカ殻の厚さを調整して、攪拌子の幅を75 nmから1.4 μmにできる。Chenたちは、この攪拌子を用いて、4 pl程度の体積の液滴を攪拌でき、普通の磁気攪拌プレートで攪拌子を回転させられることを示している。

この攪拌子は、大きさがナノスケールであるため、液滴内で浮き続けるので、溶液全体を攪拌できる。

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