Research Highlights

グラフェン:両側からの眺め

Nature Nanotechnology 2013, 513 doi: 10.1038/nnano.2013.87

走査型トンネル顕微鏡(STM)などの走査型プローブ顕微鏡は、試料の形態を調べるのに使われることが多い。しかし、グラフェンでは、試料は動かないままでいるのではなく、顕微鏡のティップに追従して動く。そのため、驚くほど起伏に富んだ形状を示すグラフェンの画像は、ティップによって生じた変形の影響を著しく受けている。ウィーン大学のJ Meyerたちは今回、ティップを2つ備えるSTMを用いて、こうした変形を測定することができた。

Meyerたちは、2つの別々のSTMユニットが互いに向き合った特別製の装置を用いた。数層グラフェンの試料は、その2つのユニットの間につるされている。この構成によって、同じ場所をグラフェン膜の両側で同時に調べることが可能になる。その結果、どの走査時においてもSTMティップによってグラフェンの形態が変化し、ティップと試料の間の引力相互作用と斥力相互作用によって、グラフェンが永久変形しうることがわかった。しかし、Meyerたちは、STMティップを用いて、グラフェン膜の局所的な曲率と高さを精密に制御できることも示している。

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