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単一細胞分解能での細胞間コミュニケーションの比較解析

Nature Biotechnology 42, 3 doi: 10.1038/s41587-023-01782-z

単一細胞のRNA塩基配列解読データから細胞間コミュニケーションを推測することは、細胞間コミュニケーション経路を明らかにするための強力な技術であるが、既存の方法はこうした解析を細胞タイプや細胞クラスターのレベルで行うため、単一細胞レベルの情報が失われている。今回我々は、細胞の集約やダウンサンプリングをすることなく単一細胞分解能で細胞間コミュニケーションの比較解析を行う、柔軟で拡張可能な枠組みであるScriabinを紹介する。我々は、複数のアトラス規模の公開データセット、遺伝子摂動スクリーニング、実験による直接検証を用いて、Scriabinが予想された細胞間コミュニケーションのエッジを正確に拾い上げ、集合的な方法では隠れてしまいかねないコミュニケーションネットワークを見いだすことを示した。また、空間トランスクリプトームデータを用いることにより、Scriabinが解離データのみから相互作用の空間的特徴を発見し得ることも明らかになった。最後に、長期的データセットに応用することにより、異なる時点間で働くコミュニケーション経路が追跡されることが示された。我々の方法は、健康と疾患におけるニッチと表現型との関係の全体構造を明らかにするための広く応用可能な戦略となる。

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