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CRISPR–Csm複合体による正確な転写物標的化

Nature Biotechnology 41, 9 doi: 10.1038/s41587-022-01649-9

哺乳類細胞で転写物をロバストかつ正確に標的化することは、非効率性や不正確さ、細胞内の区画化のため、既存の方法では今なお困難な課題となっている。本論文では、原核生物のIII型CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeat)免疫系由来の多タンパク質エフェクターであるCRISPR–Csm複合体により、核転写物と細胞質転写物の両方でRNAの精密な除去が行われることを示す。CRISPR–Csmは、最も広く存在するCRISPR適応免疫経路の一部として、プログラム可能なRNA誘導型の機構を用いて標的RNA分子を発見・分解するものであり、細胞RNAの無差別なトランス切断を誘発することがないため、CRISPR–Cas13ファミリーの酵素に比べて大きく優れている。Streptococcus thermophilusのCsm複合体を単一ベクターで送達したところ、ヒト細胞で高効率のRNAノックダウン(90~99%)とごくわずかなオフターゲット効果が認められ、短鎖ヘアピンRNAやCas13によるノックダウンなどの既存技術よりも優れていた。また、触媒不活性型Csmによって特異的で持続的なRNA結合が行われることも明らかになり、その特性は生細胞RNAの画像化に利用できた。こうした結果は、真核生物のRNA標的化ツールとしての多重タンパク質CRISPR–Casエフェクター複合体の実現可能性と有効性を示している。

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