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個別化医療に向けたヒト微生物7302株のゲノム規模の代謝再構築

Nature Biotechnology 41, 9 doi: 10.1038/s41587-022-01628-0

ヒトのマイクロバイオームは、広く処方されているさまざまな薬剤の有効性と安全性に影響を及ぼす。微生物の代謝が組み込まれた精密医療の設計には、株や分子ごとのスケーラブルな計算的モデル化が必要になると考えられる。今回我々は、ヒトの腸内微生物のゲノム規模の代謝再構築に関する我々の既報のリソースを、大幅な拡大版によって拡張させた。AGORA2(assembly of gut organisms through reconstruction and analysis, version 2)は、7302株で構成され、98種類の薬剤に対する株ごとの薬物分解能力と生体内変換能力を含み、比較ゲノミクスと文献検索に基づく大規模なキュレーションが行われている。この微生物再構築リソースは、別々に収集された3組の実験データセットに対する正確度が0.72~0.84と極めて優れていて、他の再構築リソースを上回っており、既知の微生物的薬物変換を0.81の正確度で予測した。AGORA2は、616人の大腸がん患者と対照者の腸内マイクロバイオームの薬物変換能力を予測することで、個別化された株ごとのモデル化を可能とすることが示された。この薬物変換能力は個人間で大きく異なり、年齢、性別、ボディマス指数、病期と相関していた。AGORA2は、ヒトマイクロバイオームの知識基盤となり、宿主とマイクロバイオームの代謝的相互作用に関する個別化された予測解析への道を開く。

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