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完全長タンパク質のナノ細孔越しの一方向的な一列縦隊輸送

Nature Biotechnology 41, 8 doi: 10.1038/s41587-022-01598-3

ナノ細孔を通過するペプチドやタンパク質による電流の遮断は、バイオセンサーへの応用で分子の指紋として使用することができる。しかし、完全長タンパク質のナノ細孔通過は、酵素的な変性と透過を用いることによってしか達成されていない。本論文では、酵素によらずに完全長タンパク質をナノ細孔越しに一方向へ低速輸送する方法を紹介する。化学耐性を有する生物学的ナノ細孔α溶血素(最狭部は直径約1.4 nm)と高濃度の塩化グアニジニウム緩衝液を組み合わせることで、電気浸透効果によって推進される一方向的な一列縦隊のタンパク質輸送が可能になることが示された。平均タンパク質透過速度は印加電圧に、透過時間は長さにそれぞれ線形依存しており、ssDNAの透過の動態に類似することが明らかになった。教師あり機械学習分類器を用いることにより、通過の方向と内容を90%以上の正確度で識別するのに十分な情報が1回の透過事象に備わっていることが実証された。遺伝子コードされた荷電ペプチドの尾部かDNAタグのいずれかをタンパク質に付加すると、タンパク質の捕捉率は大幅に上昇した。

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