Perspective

次世代塩基配列解読法のケミストリー

Nature Biotechnology 41, 12 doi: 10.1038/s41587-023-01986-3

次世代塩基配列解読法(NGS)によって全塩基配列が明らかにされた最初の大型ゲノムは、合成による塩基配列解読(SBS)をパラダイムとして用いたバクテリオファージのゲノムであった。NGSにおけるSBSは「可逆的ターミネーターケミストリー」によって支えられている。概念実証から価格が手頃で実用性あるものに成長させるために、SBSは一連の課題の克服を要し、各課題には新たなケミストリーの発明が必要であった。その中には、非天然型のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)の設計と合成、適切なポリメラーゼの作製、新しい界面化学、あらゆるポリメラーゼにつきもののコピーエラーを解消する巧妙な分子的解決策などがある。この歴史的なPerspectiveでは、サンガー式の塩基配列解読法からどのようにNGSが開発されたかを論じ、前例のない形で生物学に影響を与えたこの技術の背景にあるケミストリーに注目する。

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