Perspective

地域での製造によるCAR T細胞治療へのアクセスの拡大

Nature Biotechnology 41, 12 doi: 10.1038/s41587-023-01981-8

キメラ抗原受容体T細胞(CAR T細胞)は、血液悪性腫瘍の治療状況を一変させている。これまで、米国食品医薬品局(FDA)によって承認された6種類のCAR T細胞製品は、いずれも自己由来で、一元的に製造されてきた。承認される製品と適応の数は増加し続けており、患者がこの治療を受けられるようにするには、細胞製造能力を増強する新たな戦略が緊急に求められている。治療現場や地域の製造施設での分散型製造は、需要の増加に応じる上で大きな役割を果たすと考えられる。これをうまく実行するには、新たな技術を活用して、地理的に分散した全ての施設で均一な品質の製品を製造することが不可欠である。その中には、自動細胞生産システムやインラインセンサー、工程シミュレーションを用いて、高度な品質管理と効率的なサプライチェーンマネジメントを強化することが含まれる。包括的な研究によってCAR T細胞の重要な品質特性を解明すれば、広く達成可能な出荷判定基準をさらに明確に定めることが可能になる。国の規制当局による監視を補完するため、我々は認定機関の役割の拡大を推奨する。また、分散型製造モデルの固有の特性に対応するために、規制基準は修正する必要があると考えられる。

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