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天然のクロマチン状態における転写因子の絶対的結合親和性を定量化するBANC-seq

Nature Biotechnology 41, 12 doi: 10.1038/s41587-023-01715-w

ゲノム全体の転写因子の結合は、DNAの塩基配列やクロマチンの特徴によって調節されている。しかし、クロマチンの状態が転写因子の結合親和性に及ぼす影響の定量化はいまだ可能ではない。本論文では、ゲノム全体にわたって天然のDNAに対する転写因子の絶対的な見かけの結合親和性を判定するBANC-seq(binding affinities to native chromatin by sequencing)という方法を紹介する。BANC-seqでは、分離された核に一定濃度範囲の標識済みの転写因子を加える。続いて、濃度依存性の結合を試料ごとに測定し、ゲノム全体にわたって見かけの結合親和性を定量化する。BANC-seqは、転写因子の生物学に量的な側面を加えることで、転写因子の濃度に基づくゲノム標的の層別化や、(がん)遺伝子群の疾患関連の過剰発現など、非生理的条件における転写因子結合部位の予測を可能とする。注目すべきことに、高親和性結合部位の成立には転写因子のコンセンサスDNA結合モチーフが重要であるのに対し、そうしたモチーフはゲノム中でナノモルレベルの親和性の相互作用を得るのに必ずしも厳密に必要なわけではない。

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