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患者のがんオルガノイドでの改変T細胞の作用機序を明らかにする

Nature Biotechnology 41, 1 doi: 10.1038/s41587-022-01397-w

血液がんに対する細胞免疫療法の成功を固形腫瘍の領域にも展開するには、治療の作用機序を分子レベルで明らかにする優れたin vitroモデルが必要となる。本論文では、画像評価およびトランスクリプトミクスによって免疫細胞と患者のがんオルガノイドとの動的な相互作用を調べるために開発したBEHAV3Dという方法を紹介する。患者由来の固形腫瘍オルガノイドと共に培養した15万個以上の改変T細胞をBEHAV3Dで直接追跡すると、強力な連続殺傷能を有するT細胞を含む「スーパーエンゲージャー」の挙動クラスターが見いだされた。また、他のT細胞コンセプトの中では、がんメタボロームを感知する改変T細胞(TEG)を調べ、スーパーエンゲージャーキラーTEGが発現するがT細胞機能がこれまで全く明らかにされていない27遺伝子の集団を含む挙動特異的な遺伝子シグネチャーを検出した。さらに、耐性オルガノイドがI型インターフェロンによってTEGを介した殺傷に導かれることも明らかにした。BEHAV3Dは、細胞免疫療法の挙動と表現型の不均一性を明らかにする有望なツールであり、固形腫瘍を標的とする個別化細胞療法の最適化を支援すると考えられる。

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