Article

合成イントロンがスプライシング因子変異依存的ながん細胞の標的化を可能にする

Nature Biotechnology 40, 7 doi: 10.1038/s41587-022-01224-2

がんには、機能を変化させてRNAスプライシング因子に影響を及ぼす反復変異をもつものが多い。本論文では、この異常なスプライシング活性を利用してスプライシング因子変異依存的な遺伝子発現を引き起こし、腫瘍細胞を選択的に消滅させる方法を紹介する。我々は、SF3B1変異を有するがん細胞では効率的にスプライシングされるがそれ以外は遺伝的に同質の野生型細胞ではスプライシングされない合成イントロンを作製し、変異依存的なタンパク質の産生を実現した。8878種類のイントロンの超並列スクリーニングによって理想的なイントロンの大きさが示され、変異依存的スプライシングの根底にある因子がマッピングされた。合成イントロンは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV–TK)の変異依存的な発現と、それに続くガンシクロビル(GCV)によるin vitroでのSF3B1変異型白血病、乳がん、ぶどう膜メラノーマ、および膵臓がんの細胞殺傷を可能とし、野生型細胞には作用しなかった。in vivoで合成イントロン含有HSV–TK構築物を白血病、乳がん、およびぶどう膜メラノーマの細胞に送達してGCVを投与すると、本来であれば致死的なその異種移植片の増殖が有意に抑制され、宿主マウスの生存率が改善された。合成イントロンは、がんの遺伝子治療にRNAスプライシングの腫瘍特異的な変化を利用する手段となるものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度