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無細胞DNA断片化プロファイルから遺伝子発現を推定する

Nature Biotechnology 40, 4 doi: 10.1038/s41587-022-01222-4

血流中の循環腫瘍DNAのプロファイリングには、がんの非侵襲的検出が期待される。これまで、無細胞DNA(cfDNA)から遺伝子発現プロファイルを推定するために、クロマチン断片化の特徴が調べられてきたが、従来のフラグメントームの方法は、腫瘍由来DNAが高濃度で存在する必要があり、分解能が低い。今回我々は、プロモーター断片化のエントロピーが個々の遺伝子のRNA発現レベルを予測するcfDNAのエピゲノム的特徴であることを明らかにし、目的遺伝子のプロモーターの選択的塩基配列解読を用いるEPIC-seq(epigenetic expression inference from cell-free DNA-sequencing)という方法を開発した。がん患者201人と健常成人87人の血液検体329点のプロファイリングを行うことにより、肺がんとびまん性大細胞型B細胞リンパ腫のサブタイプ分類を行うことができた。PD-(L)1免疫チェックポイント阻害薬を投与した患者の連続血液検体にEPIC-seqを用いると、EPIC-seqで推定した遺伝子発現プロファイルが臨床応答と相関することが示された。今回の成果から、EPIC-seqには、診断、予後判定、治療の面で可能性を有する非侵襲的なハイスループットの起源組織解析を実現する可能性があることが示された。

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