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親油性コンジュゲートによるRNAi治療薬の肝臓外組織への展開

Nature Biotechnology 40, 10 doi: 10.1038/s41587-022-01334-x

低分子干渉RNA(siRNA)に基づく肝細胞送達用の治療薬が承認されたが、他の臓器を対象とするには新しい送達法が必要である。本論文では、2′-O -ヘキサデシル(C16)をsiRNAに結合させることにより、齧歯類および非ヒト霊長類の中枢神経系(CNS)、眼、肺での安全、強力かつ持続的なサイレンシングが可能となり、それに広い細胞型特異性が見られることを示す。髄腔内または脳室内に投与したC16-siRNAはCNSの諸領域および各種細胞型で広く機能し、3か月以上にわたってRNA干渉(RNAi)活性が持続することが示された。同様に、眼球の硝子体内投与および肺への経鼻投与でも強力で持続的なノックダウンが認められた。アミロイド前駆体タンパク質を標的とするsiRNAをアルツハイマー病モデルマウスの脳室内に投与し、前臨床の有効性を評価したところ、生理学的・行動的障害の改善が見られた。このように、C16と結合させたsiRNAは、肝臓以外で低頻度の投与による標的遺伝子の安全な治療的サイレンシングを実現する可能性がある。

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