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超小型Cas12f1と改変型ガイドRNAをアデノ随伴ウイルスで送達する効率的なCRISPR編集

Nature Biotechnology 40, 1 doi: 10.1038/s41587-021-01009-z

小さなアデノ随伴ウイルス(AAV)のゲノムに収まって、真核細胞で高い切断活性と特異性を発揮する小型のCRISPR系があれば、遺伝子治療への恩恵となる。これまでに発見されている最小級のCRISPR関連ヌクレアーゼとして、アーキアのUn1Cas12f1がある。しかし、Un1Cas12f1とそのバリアントは真核細胞での活性が極めて低い。本研究では、Un1Cas12f1の天然型ガイドRNAを5か所で再設計した[トランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)の5′末端、tracrRNA–crRNA相補性領域、ペンタ(ウリジン)塩基配列、crRNAの3′末端、tracrRNAの変性したステム2領域)。これらの最適化により、挿入欠失の平均頻度は相乗的に高まって867倍となった。最適化されたUn1Cas12f1系をプラスミドベクター、PCRアンプリコン、AAVによって送達すると、ヒト細胞で効率的かつ特異的なゲノム編集が行われた。Un1Cas12f1はプロトスペーサーの外側で切断するため、これを用いることによって大きな欠失が効率的に得られる。この改変型Un1Cas12f1系の効率はSpCas9に匹敵し、特異性はAsCas12aと同等であった。

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