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抗がん剤応答の基盤となる転写プログラムをTraCe-seqで見いだす

Nature Biotechnology 40, 1 doi: 10.1038/s41587-021-01005-3

がん細胞集団内の遺伝的不均一性と非遺伝的不均一性は、抗がん治療の大きな課題となっている。現在のところ、既存の特性や適応的特性が治療に対する細胞の応答にどう影響するかを判断するロバストな方法は存在しない。今回我々は、発現バーコードと単一細胞RNA塩基配列解読(scRNA-seq)を用いてクローンの適応度マッピングと転写特性解析を行い、scRNA-seqによってクローンの応答の差異を追跡する方法(TraCe-seq)を開発した。TraCe-seqは、複雑な集団の中で異なる治療法に応答した細胞の起源、運命、初期の適応的転写プログラムの差異をクローンの分解能で捉える方法である。我々は、TraCe-seqを用いて、次世代の二重機能上皮成長因子受容体(EGFR)阻害分解薬がEGFR変異肺がん細において、標準的なEGFRキナーゼ阻害薬に比してどのように機能するかを評価した。その結果、EGFRタンパク質の選択的分解に関連する抗増殖活性の消失と、抗EGFR治療の効果において小胞体(ER)タンパク質プロセシング経路の果たす極めて重要な役割が見いだされた。この結果は、選択的分解が必ずしも酵素阻害より優れているわけではないことを示唆しており、TraCe-seqが治療応答に対する既存の転写プログラムの影響を調べる手法になることを裏付けた。

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