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画像化を行わない分子トモグラフィーによる組織の空間プロファイリング

Nature Biotechnology 39, 8 doi: 10.1038/s41587-021-00879-7

空間分解型のオミクスプロファイリングに関しては、現時点で複数の技術が開発途上であるが、新しい方法はそれぞれ特有の検出戦略の組み立てや特殊な装置を必要とする。本論文では、後の画像復元が可能となるように試料を薄片に切断することによって、画像化によらずにハイスループットの読み出しの位置を組織内で特定する枠組みを紹介する。この枠組みを実行して、低インプットのRNA塩基配列解読プロトコルを画像化によらない空間トランスクリプトミクス技術(STRP-seqと称する)に転換し、マウス脳の空間トランスクリプトームのプロファイリングによってそれを検証した。我々は、この技術をオーストラリアのフトアゴヒゲトカゲ(Pogona vitticeps)の脳に用いた。その結果、このトカゲの終脳の分子的構造が明らかになり、爬虫類の外套と外套下部の顕著な部域化の証拠が得られた。STRP-seqは、他の各種オミクス技術からの空間分解データの引き出しにも利用可能と考えられる。

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