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希少な細胞状態の多様性が薬剤耐性への複数の経路を可能とする

Nature Biotechnology 39, 7 doi: 10.1038/s41587-021-00837-3

個々の細胞の間の分子的な差異は、薬剤治療でのがん細胞の生死など、細胞運命の劇的な差につながることがある。この種の起源的な差異は、変化しやすい分子的特徴のどれがどの細胞運命につながるのかを正確に見極めることが困難なため、ほとんど把握されていない。そこで我々は、遺伝子バーコーディングとRNA蛍光in situハイブリダイゼーションを組み合わせ、着目した細胞挙動を生じる希少な細胞を直接捕捉する方法Rewindを開発した。我々はRewindをBRAFV600E黒色腫に用い、薬剤耐性の細胞運命を、薬剤耐性を持たない前駆細胞(初期頻度は細胞1000~1万個に1個程度)の単一細胞遺伝子発現の差異および薬剤処理直後のMAPキナーゼシグナル伝達の相対的持続性までさかのぼって追跡した。我々は、この希少な亜集団の中に、薬剤処理を受けた別個の耐性クローンの増殖能力のような表現型挙動の将来的差異が複数の異なる亜集団の間の分子的な差異によって予測される豊富な下位構造を見いだした。今回の結果は、薬物に曝露されたときのさまざまな潜在性の最終的表現型の基盤となる、隠れた希少細胞の多様性を明らかにしている。

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